心理学の誕生の歴史 古代ギリシアからヴントの要素主義に至るまで

心理学の誕生の歴史

心理学はいつ頃に誕生したのでしょうか…?

心理学はずっと昔から存在しているような気がしますが、学問として確立してからの歴史はとても浅いんです。今回は、心理学が誕生するまでの歴史について紹介します。

心理学が誕生するまでの長く短い歴史

古代ギリシアまで遡る心理学の歴史

心理学の誕生の歴史

心理学の歴史は、古代ギリシアのプラトンやアリストテレスといった有名な哲学者の時代にまで遡ることができます。

心理学は、英語で「Psychology(サイコロジー)」と言いますが、語源はギリシャ語です。

Psyche(プシュケー)は心や精神という意味で、logos(ロゴス)は学問や理論という意味なので、これらを組み合わせて心理学という言葉になりました。

古代から心について哲学的な議論が行われてきましたが、心理学という学問として確立したのは、約150年ほど前のことです。

忘却曲線を提唱したエビングハウスは、1908年に出版した「Abriss der Psychologie(心理学要論)」の冒頭に、心理学は「過去は長いが、歴史は短い」という印象的な文章を書き記しました。

エビングハウスの「過去は長いが、歴史は短い」という言葉。これは、心についての関心や議論は古代からあったため過去を遡れば長い。しかし、学問として科学的に研究されるようになったのは、最近のことなので歴史はとても短いという意味で、心理学の歴史を分かりやすく表現した文章だと思います。

心理学に影響を与えた偉人

心理学の誕生の歴史

古代ギリシアだけではなく、心理学が学問として確立する前に、その後の心理学に影響を与えるような哲学的思想を持った偉人がいます。

「我思う、ゆえに我あり」という有名な言葉を残した、フランス生まれの哲学者ルネ・デカルトは、心と身体は別物であるという心身二元論を提唱しました。

デカルトは、確実な知識を得るためにあらゆるものを疑うことから哲学を始めました。しかし、どれだけ疑っても、それを考えている自分という存在だけは疑いようものなく確かなものだと確信して、「我思う、ゆえに我あり」という言葉を残しました。

デカルトは17世紀に活躍した人であるため、心理学が誕生する前の哲学者ではありますが、心身二元論や生得説など、その後の心理学にも影響を与えるような説を提唱しました。

心理学が哲学から独立して科学的な学問となる

心理学の誕生の歴史

ドイツの心理学者であるヴントは、1879年にライプツィヒ大学に心理学実験室を開設しました。この心理学実験室の開設によって、科学的な学問として心理学が哲学から独立しました。そのため、心理学は1879年のヴントの心理学実験室開設により誕生したと言われています。

ヴントは、心理学は「意識」を研究するべきであると主張して、複雑な意識現象も単純な要素に分解できると考えました。彼は「意識」を感覚や感情などの要素に分けて、それらを組み合わせることで「意識」を説明しようと試みました。

ヴントは意識の構成要素を明らかにするために、内観法という研究方法で、意識について研究を行いました。内観法は、自分自身の意識を自己観察して、感覚や感情などの心的状態について報告をしてもらう方法です。

ヴントは心理学誕生に大きな貢献をしましたが、研究対象を「意識」としたこと、研究方法に内観法を用いていること、意識を要素に分解できるとしたことにより批判を受けることとなります。

ヴントの意識心理学は、多くの心理学者に影響を与え、その後の心理学の発展にも貢献しています。行動主義心理学、精神分析学、ゲシュタルト心理学は、ヴントの心理学を批判することで、さらなる発展を遂げることができました。

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