タイプAという性格の傾向があって、それが心疾患になりやすいという話を聞いたことはありませんか?
これは、あまり心理学について詳しくない人でも、どこかで耳にしたことがある有名な話のようです。
「これは本当のことなの?」と信じられない人もいるかもしれません…。
今回は、虚血性心疾患や癌になりやすいと言われている性格特性について紹介していきます。
病気になりやすい性格がある!?
タイプA行動パターン

タイプA行動パターンは、1959年にアメリカの心臓専門医、フリードマンとローゼンマンが発見しました。
ある日、待合室の椅子の張替えを行う職人さんが、肘掛けと座面の前の方だけが擦り減って傷んでいることを発見して不思議に思い眺めていました。
フリードマンらは、この話を職人さんから聞いて、虚血性心疾患の発症に関連する性格があるのではないかと考えたのです。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の患者を診察していく中で、せっかちで時間に追われている患者が多いことを発見しました。
待合室にある椅子の前の方だけが擦り減っていたのは、待ち時間にイライラしやすく、呼ばれたときにすぐに立ち上がることができるように、患者が浅く座っていたからだそうです。
そして医学誌に、高血圧や心疾患に関連する行動パターンをまとめ、タイプAと名づけました。
タイプA行動パターンの特徴としては、競争心が強く野心的、時間に追われやすい、イライラしやすいという性格面の特徴に加えて、声が大きく早口で多動、食べるスピードが速い、一度に多くのことをやろうとする、挑戦的な言動をすることが多いという行動面の特徴があります。
アメリカで3,154人を対象に、約8年半の追跡調査を行ったWCGSという疫学研究では、タイプA行動パターンはタイプB行動パターンに比べて、冠動脈性心疾患のリスクが約2倍以上高くなるという結果になりました。
タイプA行動パターンの特徴である怒りや敵意という感情が、虚血性心疾患の発症に強く影響を与えていると考えられています。
さらに怒りや敵意などの感情は、不安やうつ、生活習慣病につながるメタボリックシンドロームの発症要因ならびに増悪因子としても注目されています。
治療研究も行われていて、リラクセーション練習や認知行動療法などの心理療法を行うことにより、タイプA行動パターンからタイプB行動パターンに行動変容させるという、ストレスマネジメント・プログラムが開発されました。
タイプA行動パターンを評価する日本人用の質問紙としては、日本版JAS、東海大式タイプAスクリーニング・テスト、日本的タイプA行動評定尺度などがあります。
タイプB行動パターン

タイプB行動パターンは独自のカテゴリーとしてではなく、タイプA行動パターンの研究をするときの比較として登場することが多いです。
タイプB行動パターンは、焦ることが少ない、マイペースに行動をする、ゆったりとしていて非攻撃的であるため、タイプA行動パターンとは逆の特徴と言えます。
締切や時間に追われるというプレッシャーを感じにくく、競争心が少ないため、ストレス耐性が高く健康的であると考えられています。
タイプC行動パターン

タイプC行動パターンは、癌になりやすい性格特性であると言われています。
周囲に気を使いやすく、衝突を避けるために感情を抑え込む傾向があります。真面目で几帳面で、自己を犠牲にしても相手に配慮をするため、協調性がある人だと思われることが多いです。
しかし、強いストレスを抱えやすく、それによって免疫力が低下することで癌の発症リスクを高めるのではないかと考えられています。
1980年代以降、ロナルト・グロッサルト=マティチェクとアイゼンクが、がん親和性パーソナリティとして、またリディア・テモショックらは悪性黒色腫患者を中心とした行動パターンとして実証研究を行いました。
ですが、タイプC行動パターンと癌の発症との関連性については、否定的な意見もあります。
タイプDパーソナリティ

タイプDパーソナリティは、感情面に関しての悩みが多く、「物事を否定的に考える傾向」があり、「他者と距離を置いて、悩みを打ち明けようとせずに抑制する」という2つの特徴を持つ性格傾向です。
タイプA行動パターンのように、心疾患との関連が強いとされています。
また、不安や心配などのネガティブな感情を抱きやすいため、ストレスを抱えやすく、生活習慣病の発症とも関連があるのではないかという意見もあります。
ちなみに、タイプD行動パターンではなく、「タイプDパーソナリティ」と呼ばれています。
