「性格」と「人格」の違いについて聞かれたとき、どのように答えますか?
自分の性格については考える機会も多く、「性格」という単語はとても馴染み深いものですよね。
「怒りっぽくて短気なところが…」「人見知りしてしまう内気な性格で…」「優しくて穏やかだ」など、性格については何となく浮かんでくるけど、漠然としていてよく分からないということがあるかもしれません。
今回は、「気質・性格・人格」の違いと、パーソナリティ心理学の歴史について学んでいきましょう!
性格とは何か?
気質・性格・人格

性格
性格(character)の語源は、「刻み込む」を意味するギリシャ語です。
性格は気質がもとになっていて、環境との相互作用によって形成される個人の認知・感情・行動の傾向です。
学習能力や記憶力などは含まれておらず、社交的・内向的などの感情面の個性を「性格」とするため、知能とは区別されています。
個人の生まれ持った気質だけではなく、対人行動の発達や社会・文化的学習の影響も受けます。
国・民族・日本であれば都道府県などの居住している場所・階級・職業などの社会集団に、長期間所属することによって形成され、その社会集団の人々に共通することが多い認知や行動のスタイルを社会的性格と言います。
気質
気質(temperament)は、人が生まれつき持っている感情面の個性です。活動性、反応性、情動性、社交性の4種類に分類されることがありますが、実際はもっと複雑です。
気質は遺伝的・生物学的な影響が強く、乳児の頃から人生の長い期間にわたって性格の形成に影響を与え、性格の基盤になるものだとされています。
人格 / パーソナリティ
パーソナリティ(personality)は、性格に社会的に獲得した性質が加わったものです。
語源はラテン語のペルソナで「仮面」という意味があり、性格よりもあとに導入された概念です。
性格と同義で使われることが多いですが、パーソナリティは知能や態度、興味、価値観なども含めた個人の全体的特徴をあらわすこともあるため、性格よりも広い概念といえるかもしれません。
パーソナリティは、「時間的一貫性」と「空間的一貫性」を持つことが特徴です。
時間的一貫性とは、すこし波や変化があったとしても、時間が経過しても激しい変化を起こさないことです。基本的には、朝と夜で別人のように人格が変わるということはないと思います。
空間的一貫性とは、場面や状況による変化が少なく、その人がいる場面(空間)が変わったとしても、行動や態度などがある程度共通していることです。空間的一貫性があることで、「いつもと同じ行動をするだろう」と周囲の人は考えるため、行動の予測や安心感を得ることができます。
パーソナリティは「人格」と訳されますが、日本では「人格者」や「人格破綻者」など、プラスの意味やマイナスの意味でそれぞれ使われることがあるため、それらの価値観が入らないようにパーソナリティと表現されることが多いです。
しかし、性格、気質、パーソナリティ、人格の定義は曖昧で、これらすべてを「性格」とする場合もあります。
パーソナリティ心理学の歴史
古代ギリシア

「気質」という考え方はずっと昔から存在していて、プラトンやヒポクラテスがいた古代ギリシアの時代まで遡ります。
プラトンは著書『国家』の中で、人の魂(心)は理性、気概、欲望の3つで構成されているという「魂の三分説」を唱えました。頭には理性、胸には気概、お腹の底には欲望が宿ると考えました。そして、理性は気概と欲望のバランスを取らなければならないと言いました。
医学者・哲学者のガレノスは、ヒポクラテスの四体液説をもとに、四つの体液のバランスによって、性格が決まるという「四気質説」を主張しました。
古代ギリシアの人々は、人間の心や性格について、たくさんのことを考えていたようです!
四気質説についてはこちらをご覧ください!
性格学
「性格学」という用語がありますが、これは科学としての心理学が誕生する前の1867年に、ドイツの哲学者バーンゼンによってはじめて使用されました。
性格学は、「性格とは何か」という問いから、個人の行動や態度の独自性を全体的な観点から説明することを目的としていました。ヨーロッパ的な人間学を背景に、当初は観念的・思弁的な色合いが強く、ドイツ語圏では独立した分野として発達していて、精神医学的性格論とも関係がありましたが、1950年頃に現在の「パーソナリティ心理学」に吸収されました。
さらに、パーソナリティを含む心的機能や特徴の「個人差」を研究対象とする「差異心理学」の基礎にもなりました。
個人のパーソナリティを全体的に捉えることを優先しているため、類型論との親和性が高く、クレッチマーやユングなどの理論も性格学として考える場合もあります。
オールポート

人格心理学の創始者とされるゴードン・オールポートは、辞書から性格に関する用語18,000語を収集して、そこから4,500語ほどに絞り込みを行って、さらに性格特性語としての重要度を3段階に分け、性格特性論の概念を体系化しました。
すごい数ですよね…
オルポートは若い頃から人格に興味を持っていて、1921年には社会心理学者である兄のフロイド・オルポートと共に人格特性についての本を執筆しました。
オルポートは「人格は固定したものではない。一貫して変わらない特性もあるが、時の流れと共に変化する特性や限られた状況でしか姿を見せない特性もある。」と、人格は変化するものだと考えていたようです。
また小説のロビンソン・クルーソーを例に挙げて、「たとえ誰にも知られず、社会的な関わりが皆無であっても、その人には十分に発達したパーソナリティが存在する」と述べています。
