ヴィルヘルム・ヴントの心理学の特徴 「要素主義」「内観法」「感情の三次元説」について

ヴィルヘルム・ヴント

心理学を科学として成立させたドイツの心理学者ヴィルヘルム・ヴント。

心理学を学び始めたときに、どの心理学分野でも最初に登場する「ヴント」。

今回は、ヴントの実験心理学研究室の開設から晩年までを簡単に紹介していきます。

ヴントの心理学の流れ

ヴントの功績

ヴィルヘルム・ヴント

ヴィルヘルム・ヴントは、心理学の創始者として知られるドイツの心理学者です。

ヴントは1864年に、ハイデルベルク大学で「生理学的心理学」の講義を初めて行いました。そして、1879年に世界最初の実験心理学研究室をライプツィヒ大学に創設しました。この実験心理学研究室の開設により、心理学は哲学から独立して、科学的な学問となりました。

ヴントは心理学の誕生に貢献して、この功績から「近代心理学の父」や「実験心理学の父」と称されています。

心理学は科学なのか?

ヴィルヘルム・ヴント

ヴントは、心理の研究に「実験」を取り入れました。これにより、人の心理を客観的な自然科学として捉えようとする実験心理学が誕生しました。

18世紀のドイツの哲学者カントは、「心理学は科学にはなりえない」と考えていました。

カントは、数学が適応できること、実験ができることが科学であることの条件だと考えていたようです。心理的な現象や法則は、数字を使って計算をすることができないこと、さらに科学のように実験により分析をすることができないとして、カントは心理学は科学の条件を満たしていないと考えました。

心理学の誕生は、「心理学は科学にはなりえない」というカントの批判を乗り越えて、科学的な学問となりました。

ヴントの心理学の特徴

ヴィルヘルム・ヴント

ヴントは精神(心や意識)の根源は物質であり、精神の働きも物質により決まるとする唯物論の考えは持っていませんでした。肉体(物質)と心は、別の法則に従って動いていて、肉体は生理学が研究して、心は心理学が研究するべきであると考えていました。

ヴントは「意識」を心理学の研究の対象として、意識は「表象(イメージ)」「意志」「感情」の3つに分類できると考えました。このように、意識は細かい要素に分解できるというヴントの考えを「要素主義(構成主義)」と言います。

ヴントは、分解できた要素を分析することで、意識(心)を理解できると考えていました。意識の構成要素を明らかにするために、実験参加者に刺激を与えて、その瞬間に何を意識したかを報告してもらうという「内観法」という手法で実験を行いました。

ヴントはメトロノームを使って、「カチカチ」という音を聞いた被験者の意識的な感情の変化を分析しました。その結果から、感情は「快/不快」「興奮/沈静」「緊張/弛緩」の3つに分類できるという「感情の三次元説」を提唱しました。しかし、ヴントの内観法という実験手法は、実験参加者の感覚に頼りすぎているため、客観性に欠けるとして支持されませんでした。

ヴントの主張を批判する形で、行動主義心理学やゲシュタルト心理学が発展していきました。

晩年には、それまで研究してきた個人の心の仕組みではなく、集団の社会制度や文化、慣習や信仰と精神の関係に関心を持つようになりました。ヴントは、人類の文明は進歩したけれど、根底にある本質的な心理や衝動は変化しないという考えを示しています。ヴントは、これを民族心理学と名付けました。

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