家の中を歩いているときに、椅子の角で足の指をぶつけたとします。
そのとき、「気をつけて歩いていなかった自分が悪い」と思いますか、それとも「こんなところに置いてある椅子が悪い」と思いますか。
今回は、私たちが日々行っている原因帰属について、例を挙げながらわかりやすく紹介していきたいと思います。
原因帰属とは?
原因帰属
原因帰属とは、出来事や行動が生じた原因を考えて、自分なりに解釈をして特定のものに決定することです。
原因帰属の要因は主に3つで、内的要因(自分)、外的要因(他者や環境)、時間や状況で変化するため安定していない変動性要因(運など)があります。
帰属理論は、自己や他者の行動、出来事の原因を推測すること、その過程に関する理論の総称で、ハイダーが提唱しました。
帰属理論では、人が社会的場面で遭遇した出来事について、どのような情報をもとに因果を思考して、判断するのか考えます。
自分や他者を理解するときには、原因帰属のプロセスを理解しておくことが重要です。

他者や環境などの外的な要因に帰属することを外的帰属、自分の能力や性格などの内的な要因に帰属することを内的帰属と言います。
外的帰属をするのか、内的帰属をするのかによって、その後の感情や行動が大きく変わります。
原因帰属の例
原因帰属がある出来事や行動の原因が何かを考えて、これが原因であると決めることだと分かったところで、次は具体例を挙げてもう少し深堀をしてきましょう。
生徒が「学校のテストで0点を取ってしまった」という架空の例で、原因帰属とその過程を見てみましょう。

この例では、0点を取ってしまった原因をどのように考えるかに注目します。
外的帰属をした場合は、「先生のせいにする」「教室が暑くて集中できなかった」「近くの席の生徒が動いていて集中できなかった」など、自分以外が原因だと考えます。
内的帰属をした場合は、「自分の勉強時間が足りなかったから」「真面目にテスト勉強に取り組まなかったから」など、自分の勉強するにあたっての態度や姿勢に問題があるのではないかと考えます。
この例では、外的帰属をしたときと内的帰属をしたときで、そのあとの気持ちや行動にどのような変化があるでしょうか…?

外的帰属をした場合は、先生が作るテストは難しくてよい点が取れないから、「勉強しても意味がない…」と思ってしまうかもしれません。
「教室が暑かったからだ」と環境のせいであると原因帰属した場合も、教室のエアコン設備については生徒の独断で決められるものではないため、原因の改善は難しく、勉強意欲の向上にはつながりにくいです。
一方で、内的帰属をしたときは、「勉強時間が足りなかったから、次は増やそう」「遊んでしまったなら、次は勉強する時間をしっかり確保しよう」など、次回のテストに向けて気持ちや行動に変化が起こりやすいと考えられます。
一概に決めることはできませんが、この例では内的帰属を行った方が、次回に向けて成長する可能性があると言えるのではないでしょうか?
ケリーの共変モデルとは?
ケリーの共変モデル
原因帰属を説明する理論の一つに、「ケリーの共変モデル」があります。
ケリーの理論は、「行動の原因は、行動が生じたときには存在して、生じなかったときには存在しない要因、つまり結果と共に変動する要因に帰属される」となります。
一旦「当たり前でしょ!」と思いますが、何回も読むと「どういうこと?」と混乱してきますね…。
ケリーが提唱した「ケリーの共変モデル」は、一貫性、弁別性、合意性の3つの共変の要因があります。
それの組み合わせによって外的帰属、内的帰属のどちらに帰属されるのかが決まるというものです。
一貫性はいつも同じ反応をする、弁別性は決まったものだけに反応する、合意性はほかの人も同じ反応をすることです。

一貫性、弁別性、合意性がすべて高いときは、外的帰属が生じやすいです。
さんという人が、Aさんというコメディアンをとても面白いと思っているという例で考えてみましょう。
Aさんはいつも面白い、Aさんだけを面白いと思う、ほかの人もAさんを面白いと思っているときは、「Aさんが面白い」と言えるでしょう。

さんがAさんをいつも面白いと思っていても、CさんやDさんという別のコメディアンのネタも面白いと思っている(弁別性が低い)、ほかの人はAさんを面白いと思っていない(合意性が低い)ときは、Aさんが面白いのではなく、の好みの問題だと内的帰属されやすいです。
ケリーの共変モデルのまとめ
| 共変の要因 | 内容 | 外的帰属 | 内的帰属 |
| 一貫性 | いつも反応している | 高い | 高い |
| 弁別性 | 特定のものだけに反応している | 高い | 低い |
| 合意性 | ほかの人も同じ反応をしている | 高い | 低い |
ヒューリスティックな情報処理
ケリーの共変モデルについては、なんとなく当てはまるのではないかと感じられたのではないでしょうか?
しかし、ひとつ疑問が浮かびます…。
私たちは日常の生活の中で、一貫性、弁別性、合意性のすべてが揃っていることを確かめてから原因帰属を行っているのでしょうか…?
一貫性については初めて原因帰属をする場合には該当しませんし、合意性について確かめるためには、何人もの人にどう思っているのかを聞かなければなりません。
日々の生活で原因帰属をするときに、一貫性・弁別性・合意性についてじっくりと考えていたら、とても時間がかかってしまいますし疲れてしまいますよね…。
人は知識の枠組みである「スキーマ」を活用して、ヒューリスティック(直感的)な情報処理を行っています。
ヒューリスティックは、簡潔に物事を判断できるというメリットがありますが、間違いが起こりやすいというデメリットがあります。
ヒューリスティックな情報処理によって、偏った原因帰属をすることがあります。
社会心理学では、このような思考や判断の偏りである「バイアス」について研究が行われています。
