あなたは「飛行機」と「車」のどちらが危険だと思いますか?
データでは飛行機の死亡事故の方が少ないとされていますが、ニュースで報道される映像を見ていて、「怖い」と感じてしまった結果、「車」よりも「飛行機」に乗る方が危ないと感じてしまう人が多いようです。
今回は、認知バイアスが起こる原因である「ヒューリスティック」について紹介したいと思います。
ヒューリスティックとは?
ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、直感的に物事を判断する仕組みで、経験や先入観に基づいた解決方法です。
直感的に素早く判断するという特徴がありますが、スピード重視のため正確な判断することが難しく、誤った判断をしやすくなります。
ヒューリスティックな情報処理によって、「認知バイアス」という偏った見方や思い込み、偏見や先入観などの認知の偏りが起こります。
ヒューリスティックという言葉は、ギリシャ語で「発見した」という意味の「eureka / ユーリカ」が語源であるため、「発見法」と表現されることもあります。
古代ギリシアの数学者/物理学者のアルキメデスがお風呂に入ったときに、アルキメデスの原理を発見して、「エウレカ」と叫んだことが由来となっているそうです。
ヒューリスティックは、カーネマンとトヴェルスキーが提唱した思考方法です。
彼らは「代表的ヒューリスティック」「利用可能性ヒューリスティック」「係留(アンカリング)と調整のヒューリスティック」の存在を明らかにしました。
代表的ヒューリスティック

ある人物や事柄の一部分を見て、特定のカテゴリーに「どれくらい当てはまるか」を基準に、その対象の属性や発生頻度を直感的に判断することを、「代表的ヒューリスティック」と言います。
「典型的または類似的」な特徴があるとき、「これはっぽい」と直感的に、深く考えずに判断してしまうことです。
総合病院で医療用スクラブを着ている人を見て、「看護師さんだ!」と思って話しかけたら、「理学療法士さんだった」という場合があるかもしれません。
総合病院ではさまざまな資格を持つ人が働いているので、医療用スクラブを着て歩いていても、お医者さんや看護師さんかもしれませんし、理学療法士さん、作業療法士さん、診療放射線技師さん、歯科衛生士さん…ほかの専門職の人かもしれません。
「白衣=看護師さん」というイメージはありませんか。特定の衣服と職業を直感的に関連づけてしまうように、人を見た目などで判断してしまうことは、日常で起こりやすい「代表的ヒューリスティック」の例です。

代表的ヒューリスティックは、「だからこんな人だ。」と言うように直感で判断するため、必ずしも事実であるとは言い切れません。
仕事に行くためにバスを利用している人が遅延で遅れてしまったとき、その人が寝坊をしたわけではないため、遅刻は個人の責任ではありません。
しかし、事情を知らない職場の人は「時間管理ができない人だ」「だらしがない人だ」「この人は時間にルーズだから、仕事ができないんじゃないか」と思ってしまうかもしれません。
「出勤時間に間に合わず遅れた」という一部分を見て、「遅刻する人はこんな人」と判断してしまうことは望ましいとは言えません。
背景にある事情を考慮せずに、認知バイアスによって短絡的に判断してしまう可能性もあるので注意が必要です。
利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックは、直近の出来事や印象深かった出来事など、思い出しやすい情報を元に判断をすることです。
「飛行機」と「車」のどちらが安全なのかと聞かれたら、あなたはどちらが安全だと答えますか?
死亡事故になる確率は「車」の方が高いとされていますが、飛行機の事故がニュースで報道されると、それが印象に残って「飛行機=危険」と思い込みやすいです。
飛行機の事故は稀ですが甚大な被害になることもあるため、強く印象に残りやすいようです。
頭に浮かびやすいものが実際に多く存在していると考える認知バイアスであるため、不安があるときは実際のデータについて調べることが大切です。
係留と調整のヒューリスティック

係留と調整のヒューリスティックとは、最初に提示された数値の情報を基準にして、そこから数値を増減して推測をすることです。
最初に入手した情報が船のアンカー(錨)のように記憶に残って、判断や評価がその情報に影響を受けて変化します。
例えば、定価5,000円の靴が売っていたとします。Aさんは定価5,000円は高いと感じました。
お店の商品を見ていると、「定価10,000円」の靴が「50%OFFで5,000円」になっていました。
するとAさんは、半額の5,000円で売られている靴は安いと感じました。
金額はどちらも同じ5,000円ですが、値引きされている方がお得で安いと直感的に判断しやすいです。
これは、「アンカリング効果」と呼ばれる認知バイアスで、マーケティングで活用されています。
まとめ
今回は、カーネマンとトヴェルスキーが提唱した3つのヒューリスティックについて紹介しました。
このほかにも、聞いたことがあるものを高く評価しやすい「再認ヒューリスティック」などがあります。
ヒューリスティックな情報処理は、誰でも起こる脳の思考の仕組みで悪者ではありません。
「少し偏っているかもしれない」と思ったときには、少しだけ時間をかけて考えたり調べてみるとよいかもしれません。
認知バイアスについてはこちらをご覧ください!
