日本の心理学史をわかりやすく解説! 西周・元良勇次郎・松本亦太郎まで

日本 心理学史 西周 元良勇次郎 松本亦太郎

日本の心理学者というと、あなたは誰を思い浮かべますか?

ドイツやアメリカで発展してきた心理学ですが、日本から海外に渡って心理学を学び、それを日本に持ち帰って発展させてきた日本人の心理学者がいます。

今回は、日本の心理学がどのようにして生まれたのか、日本の心理学史について一緒に学んでいきましょう!

日本の心理学の変遷

心理学が確立する前の出来事

人国記

『人国記』は、日本全国(五畿内七道)の地理と民情、武士の気質などが記されていて、それだけではなく「人情や気質」が「風土」と関連づけて論じられている書物です。

「県民性や地域性」について調べられた古い書物で、鎌倉幕府第5代執権の北条時頼の作品だと言われていましたが、今日では室町時代末期~近世初頭(江戸時代初期)に作られたのではないかと考えられています。

鎌田柳泓

鎌田柳泓(かまたりゅうおう)は、江戸時代後期の医師・心学者です。

鎌田柳泓は、養父のもとで医学、天文学、蘭学などを学び、さらに「神道・仏教・儒教」などの影響を受けた心学を学んで、人間の心や道徳的な生き方について考察しました。

主著『理学秘訣』は、天地自然の生成と本質を考察、さらに人間の意識や感覚作用の分析を通じて、心学の伝統的課題となっていた心の本質を究明したものだと言われています。

万物の変化の理を究して、鬼神の有無など超自然的現象について経験的・合理的解釈を加えた『心学奥の桟』は、鎌田柳泓の思想を色濃く映し出したもので、日本最初の「経験的心理学者」また「独創的唯物論者」と評価されています。

 「心学」という学問は、現在の心理学とは全く関係がない学問なので、混ざってしまわないように注意してください!

日本の心理学史の始まり

西周

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西周(にしあまね)は、明治時代の哲学者・啓蒙思想家で、西洋の哲学や学問を日本に紹介して、学術用語の形成に貢献した人物です。

西周は、1875年(明治8年)にアメリカのヘヴンが書いた精神哲学という本を日本語に翻訳して、それを『心理学』というタイトルで出版しました。

この本は「哲学における感情、感覚、意識」が記されたものだったので、西周は「心理上の哲学」と訳しましたが、これを略して「心理学」と表現したようです。

心理学という言葉は、西周によって作られた言葉ですが、ほかにも「哲学」「芸術」「知識」「概念」「意識」などの訳語も西周が考えたものです。

西周が「心理学」という言葉を作ったことが、日本の心理学の始まりだと言われることが多いです

外山正一

西周によって明治時代に心理学という言葉が作られましたが、その当時も心理学は大学で学ばれていました。

日本で最初の大学は東京大学で、心理学を教えていたのは外山正一という教授でしたが、ヴントの心理学よりも前の心理学だったため、どちらかというと哲学に近いものだったそうです。

元良勇次郎

日本で本格的な心理学者になったのは、元良勇次郎(もとらゆうじろう)です。

1883年にボストン大学へ留学して、1855年からジョンズ・ホプキンズ大学へ移り、ホールのもとで心理学を学び博士号を取得しました。

1888年に帰国してから、帝国大学の教員となり精神物理学の授業を担当していました。

当時、帝国大学で心理学を教えていたのは外山正一でしたが、1890年に「心理学・倫理学・論理学」という講座が設けられたため、初代の心理学教授として講座を担当していました。

1903年には東京帝国大学(帝国大学から名称変更)に、日本で初となる心理学実験室が創設されました。

松本亦太郎

松本亦太郎(まつもとまたたろう)は、元良勇次郎のもとで心理学を学んだのち、アメリカのイェール大学で心理学を学び博士号を取得、さらにドイツのライプツィヒ大学でヴントから心理学の指導を受けました。

1903年、東京帝国大学の心理学実験室の開設に携わりました。

1906年、京都帝国大学文科大学(現在の京都大学文学部)の心理学講座の初代教授になりました。

1913年には東京帝国大学の二代目の心理学教授となり、1927年に創設された「日本心理学会」の初代会長に就任しました。

まとめ

『人国記』と「鎌田柳泓」については、大学の心理学史の授業で登場したので、今回は日本の心理学が始まる前の歴史として紹介させていただきました。あまり覚えなくてもよいかもしれません…

教科書には、「心学」という学問は現在の心理学とは全く関係がないので間違わないように…という記載がされていることがありますので、ご注意ください。

江戸時代またはそれよりも前の日本人も、その土地の風土と性格との関連について興味を持っていたことがとても面白いですね

ちなみに、欧米では初期の心理学は生理学者によって支えられて発展してきたので、大学では理系の学問となっていることが多いそうです。

しかし、日本では外国で心理学を学んだ哲学出身の元良勇次郎と松本亦太郎がそれぞれの大学に持って帰り、そこから全国の大学に発展していったため、今日まで心理学は文系の学問という立ち位置にあります。

心理学部では統計学の授業もあり、数学も必要な学問なのですが、日本の心理学の歴史的背景として、文系になっているようですね

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