ジョン・B・ワトソンの行動主義心理学 「アルバート坊やの実験」「S-R理論」について

ジョン・ワトソン

行動主義心理学を提唱して、「行動主義の父」と称される、とても有名な心理学者であるジョン・ワトソン。

今回は、ワトソンが行った有名な「アルバート坊やの実験」、「S-R理論」など、ワトソンの行動主義について分かりやすく紹介します。

ワトソンの心理学の流れ

ワトソンの生い立ち

ジョン・ワトソンは、アメリカの農村に生まれました。少年時代はとてもやんちゃで、反抗的で成績が悪かったようです。しかし、16歳で地元のファーマン大学の予科に入学して、5年後に修士号を取得して卒業しました。

22歳でシカゴ大学院に入学、エンジェルから実験心理学、デューイから哲学、ドナルドソンから神経学、ロエブから生理学を学びました。

ワトソンは、ラットの学習実験と脳の発達研究をまとめた博士論文「動物の教育」をシカゴ大学に提出して、シカゴ大学の助手として心理学入門のクラスを教え始めました。そして、1908年にジョンズ・ホプキンズ大学の教授になりました。

1913年、コロンビア大学での講義をもとにした「行動主義者の見た心理学」という論文で、行動主義心理学を提唱しました。

ワトソンの主張

ジョン・ワトソン

ワトソンは、当時の主流だった意識を内観法を用いて研究するヴントの心理学は、実験参加者の主観や思い込みが入るため、客観性に欠けるとして批判しました。

ワトソンは、イワン・パブロフが行った「古典的条件づけ」の実験に影響を受けました。

ワトソンは、心理学の研究対象と研究方法は、客観性を重視していました。「行動」のみを心理学の研究対象であるとして、観察、実験、テストを用いて研究を行うべきだと考えました。

そして、複雑に思える人の行動も「刺激と反応」が組み合わさっているだけに過ぎないとして、S-R理論によって行動を説明できると主張しました。

アルバート坊やの実験

アルバート坊やの実験

1920年にジョンズ・ホプキンズ大学で「アルバート坊や」の有名な実験が行われました。

条件づけ…特定の刺激に対して、特定の反応が起こるように学習させることです。

恐怖条件づけ…特定の刺激に対して、恐怖反応を学習させることです。

まずアルバートという生後9ヶ月の乳児が白ネズミに対して、恐怖心を持ってないことを確かめてからこの実験は行われました。

ワトソンは、アルバートに白ネズミの恐怖条件づけを行うことが可能なのかを、この実験で確かめようとしました。白ネズミをアルバートに見せて、アルバートが触れようと手を伸ばしたときに、ハンマーを使って大きな金属音を出しました。アルバートはこの大きな音に驚いて、恐怖と苦痛の反応を示しました。この過程を7回繰り返したところで、アルバートは白ネズミを見ただけで恐怖反応を示すようになったようです。

さらに、アルバートは白ねずみだけではなく、うさぎや毛皮のコートなどの白ねずみ類似した「白くふわふわしたもの」も怖がるようになりました。これは「般化」と呼ばれるもので、類似した刺激にも反応するようになることを言います。

アルバートは、最初は白ねずみを怖がることはありませんでしたが、実験を行ったことで、白ねずみを見ただけで恐怖を示すようになりました。この実験から、恐怖という感情が生まれつき備わっているのではなく、学習によって身につけたものであることが示されました。

アルバート坊やの実験は、条件反応が人間で実証された最初の例となりました。

ワトソンは、条件反応が人間にも形成されることを証明した最初の人物となり、「行動主義の父」と呼ばれています。

しかし、アルバート坊やの実験は、倫理的に問題あるとして批判されました。当たり前ですが、アルバート坊やのような実験は、今日の心理学研究では行われていません。

アルバート坊やの月齢ですが、この実験について紹介されている心理学の本をいくつか読むと、アルバート坊やの実験が行われた月齢が「9ヵ月」または「11ヵ月」であったと記載されています。日本心理学会のサイトでは、アルバート坊やは当時9ヵ月であったと記載されていました。実際に9ヵ月のときに実験が行われたとする記載もありますが、実験参加者がアルバートに決まったのが9ヵ月のときで、実験は11ヵ月のときに行われたと説明されているものもあります。

S-R理論

S-R理論

ワトソンは、複雑に思える人の行動も「刺激と反応」が組み合わさっているだけに過ぎないとして、S-R理論によって人間の行動を説明できると主張しました。

人の発達は遺伝ではなく、環境によって決まるとして、S-R理論を応用して教育をすれば、どのような能力を持った子どもにも育てられると思ったようです。

ワトソンの主著『行動主義』には、「健康な子ども1ダースと、その子どもたちを育てるための特殊な環境を与えてもらえれば、無作為にどの子かを選んで、その子を訓練して、私は選んだどんな専門家、医者でも、弁護士でも、芸術家でも、大事業家でも、物乞いや泥棒にも、その子の才能、嗜好、能力、素質、血統に関係なく、きっとして見せよう」という有名な文章が記載されています。

まとめ

今回は、心理学の新たな風を巻き起こしたジョン・ワトソンの心理学を紹介しました。

ワトソンについて、どのように感じられたでしょうか…?

ワトソンの行動主義心理学は、「行動」のみを研究するべきだと主張したため、「心」や「意識」の存在を無視していることから、「心」「意識」を重視する研究者から批判を受けました。

しかし、ワトソンの行動主義心理学は、スキナー、ハル、トールマンなどの新行動主義の研究者に引き継がれて、学習心理学や動物心理学に影響を与えました。

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