ロミオとジュリエットというお話を知っていますか?
家が敵同士で親に結婚を反対された、ロミオとジュリエットの熱い恋愛模様を描いたシェイクスピアの名作ですよね。
今回は、そんな名作の名前が付けられた「ロミオとジュリエット効果」を見ていきましょう!
ロミオとジュリエット効果とは?
親から反対されると激しい恋になる!?

ロミオとジュリエット効果は、リチャード・ドリスコル、キース・デイビス、ミルトン・リペッツが研究を行って、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」から命名した心理現象です。
その名の通り…親の反対など恋人同士に障壁があるほど恋愛感情が高まることを、ロミオとジュリエット効果と言います。
彼らは、「恋愛関係における親の介入が、カップル間のロマンチックな愛情感情を強める」という仮説を立てました。そして、1972年に140組のカップルを対象に、質問紙調査(アンケート)を行いました。
彼らの研究の結果、恋愛関係において親の干渉が増えたと報告したカップルは、恋愛の感情が高まっていることが確認され、干渉した親への信頼は低下していることが分かりました。
しかし、その後の研究では「ロミオとジュリエット効果」を裏付けられるものは少なく、再現ができていないという問題が浮上しました。
ドリスコルが論文を発表してから、ほかの研究者たちも家族や仲間が恋愛に関与することで、どのような影響があるのか調査を行っています。
しかし、周囲からの反対は感情的な愛着の強さと関連していないという結果も出ていることから、「ロミオとジュリエット効果」を疑問視する人もいます。
しかし、ロミオとジュリエット効果の研究は、恋愛や家族関係、ソーシャルネットワークに関する研究の発展したため、その後の研究に貢献したと言えるでしょう。
ロミオとジュリエット効果が起こる理由

人は行動や選択の自由が制限されたときに、反発感情を抱きやすく、自由を取り戻そうとする心理的な抵抗が生じます。このような心理的抵抗を心理的リアクタンスといいます。
自由に選択することができないと感じると、人は危機感を覚えて選択権を取り戻そうとします。
家族や友達から交際や結婚を反対されたり、相手に会う自由を奪われそうになると、心理的リアクタンスが働いて、相手への恋愛感情がさらに高まります。
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親の反対を押し切って結婚したカップルは幸福度が低い?

親に反対されたときに抱く興奮した感情(イライラ、動悸など)を、相手に対する激しい恋愛感情だと勘違いする(錯誤帰属)ことが原因で、親の反対は恋愛感情を高めるのではないかという指摘もあります。
*錯誤帰属…ある出来事や感情が生じたときに、その原因を本来の原因とは違うものと結び付けてしまうこと。
吊り橋効果と呼ばれる心理現象で、異性と一緒に吊り橋を渡っているときに、高さや揺れに恐怖を感じてドキドキしているのに、自分が相手に対して恋愛感情を抱いたため、自分はドキドキしているのだと錯覚してしまうことがあります。
吊り橋効果と同じように、興奮状態でもそれが恋愛感情ではなく、親の反対に対する心理的抵抗によって、動機やイライラを感じているだけだと考える人もいます。
そして、親の反対を押し切って結婚したカップルは、その後の幸福度が低いという研究もあります。
ロミオとジュリエット効果は、障壁があることで恋愛感情が高まるという心理現象なので、結婚や駆け落ちをしたことで親からの干渉がなくなってしまうと、障壁がなくなって恋愛感情が冷めてしまうことも考えられます。
また、交際や結婚という目標を立てて、それを阻む障壁を乗り越えたときに、目標達成への意欲がなくなって冷めてしまったり別れるという結果に繋がる可能性も考えられます。
これらのことが、親の反対を押し切って結婚したカップルは、その後の幸福度が低いという研究の結果に現れているのではないかと思われます。
最後は夢のない話になってしまいましたが、心理学という学問の中で、これらのことが考えられているという話なので、親の反対を押し切って結婚したカップルが100%幸福度が低いという結果を示唆するものではありません。
まとめ
大学で「ロミオとジュリエット効果」とは何かという話を聞いているときに、「へっ?」と思ったことを思い出しました。
最初はダジャレで言ったのだと耳を疑いましたが、本当に社会心理学で習います…
それにしても、心理学は「
効果」や「 説」、「 理論」というものが多くて、勉強していると混乱しますよね……。