「無意識」の研究をはじめ多くの心理学の理論を提唱し、「精神分析学」の創始者としても知られるジークムント・フロイト。
今回は、フロイトの生い立ちから、精神分析が確立するまでの流れを一緒に学んでいきましょう!
フロイトの精神分析
フロイトの生い立ち
フロイトは、現在のチェコ共和国(モラヴィア)で羊毛の輸出を行う商人の息子として生まれました。4歳のときに家族とオーストリアのウィーンへ転居して、生涯のほとんどをウィーンで過ごしました。
フロイトには6人の弟妹がいましたが、母はフロイトを「黄金のジギー」と呼んで溺愛しており、ほかの弟妹よりも優遇されたようです。
知的好奇心が旺盛だったフロイトは、17歳でウィーン大学に入学して、医学や哲学を学びました。医学を学んだ理由について、「知りたいという欲求のようなものに突き動かされたのだ」と語っています。
研究熱心だったフロイトは、脳性麻痺や失語症の研究でも業績を残しています。

1885年、29歳のフロイトはパリに留学した際、ジャン・シャルコーが披露した催眠術を見て大感激そして、ヒステリー症状と催眠に関する研究に魅了されました。
ジャン・シャルコーは、患者が過去のトラウマについて語ると、そのあと症状が軽減されることを発見した神経学者で、パーキンソン病を命名したことで知られています。
催眠術を学んだフロイトは、ウィーンに戻って催眠術のクリニックを開きました。しかし、フロイトは催眠術の治療であまり成果を出すことはできませんでした。
そこでフロイトは、苦手な催眠術にこだわらずに、ほかの方法でヒステリーを治療できないかと考えました。当時、ヒステリーは患者の心の葛藤や悩みが、身体の症状になって出ている状態で、催眠術によって心の奥に隠されたものを引き出すことで治っていくと考えられていました。
催眠術を使わなくても、患者がリラックスした状態で夢の話をしたり、思いついたことを話したりすることで、心の中に沈殿しているものを外に出すことができるのではないかとフロイトは考えました。
こうして、フロイトによって編み出された夢判断や自由連想法は、フロイトのヒステリー治療の柱になりました。
フロイトは多くの概念や理論を提唱し、そんな彼を慕って多くの弟子が集まりました。ユングやアドラーなどの弟子もいましたが、彼らはのちにフロイトと決別して独自の理論を展開していきました。
フロイトは、心理学、哲学、文学、絵画や音楽などの芸術にも大きな影響を与えました。
精神分析の発展の流れ
精神分析とは、19世紀末にフロイトによって創始された、無意識を解明するための理論と実践のことを言います。
フロイトは、精神分析を「抑圧」されたものを「意識化」する仕事であるとしました。
催眠浄化法から自由連想法へ

当初フロイトは、精神科医ヨーゼフ・ブロイアーとの出会いから「無意識」に関心を持ち、神経症の病因として幼児期の性的外傷体験と、その精神的葛藤を重視していました。
1895年にフロイトとブロイアーが執筆した「ヒステリー研究」には、アンナ・Oという有名な患者の事例が載っています。
21歳のヒステリー患者のアンナ・Oは、苦しかった思いを吐き出すという催眠浄化法(週6日)を行うことで、症状が消失したとされています。
これは、【談話療法 / お話し療法 / 煙突掃除療法】とも呼ばれ、フロイトの精神分析の基礎となりました。
催眠浄化法によって心的外傷を意識化させて、感情の発散(カタルシス)をもたらすことで、ヒステリーなどの神経症の治療を行っていました。
その後、フロイトは治療者が患者の額に手を押しつけ、脳裏に浮かぶことを逐一報告させて、発病に関連する過去の体験を追求するという前額圧迫集中法(前額法)を開発しました。
しかし、患者から抗議を受けたことでやり方を変更して、寝椅子に仰向けに横になって頭に浮かぶことを言葉にする「自由連想法」が誕生しました。
局所論

ベルリンの耳鼻科医フリースとの文通から、フロイトは「自己分析」を始め、無意識の解明法として「夢分析」や「エディプスコンプレックス」を提唱しました。
また、心理的発達理論、性欲動(リビドー)の固着と退行などの概念を提示して、精神分析理論を体系化していきました。
この時期には、夢や神経症の分析を通じて、意識・前意識・無意識という3つの心のシステムを区分した「局所論」を提唱しました。
構造論

局所論は、心的外傷を無意識から意識のレベルに引き上げることで、心の奥底にたまっていたものを取り出して、治療へ導くものでした。しかし、心の葛藤や悩みを再び無意識に押し込めてしまう可能性があります。
さらに、無意識に関する理論だけでは説明できないことも多くありました。そこで、フロイトは心のコントロールセンターである「自我」に着目した「構造論」を提唱しました。
「エス / イド」は、性欲や攻撃欲、欲望の塊、本能的エネルギー(リビドー)です。
「自我 / エゴ」は、エスの動きをコントロールして、外界とのバランスを取るものです。人格の中枢の役割を持つもので、「理性」ということもできます。「自我」は局所論における意識と無意識が含まれています。
フロイトは「エス」が馬であるならば、「自我」は「騎士」のようなものだと言いました。穏やかな馬もいれば、気性の激しい馬がいるように、人によってはエスが強く、自我がしっかりしていないとコントロールできない場合があると考えました。
エスは、本能のままに行動するエネルギーで、理性は持ち合わせておらず、社会のルールではなく自分の快に従います。
お腹が空いたときに、お店でお金を払ってから食材を食べることができるのは、「自我」が働いて社会のルールに則って欲のコントロールができているからです。
自我が働いていなければ盗み食いをすることになりかねません。そのため、フロイトは自我を鍛える必要があると言いました。
「超自我 / スーパーエゴ」は、道徳や価値観で、無意識の中にあります。いわゆる「良心」で、成長すると保護者の態度や価値観を心の奥で深く理解して、意識せずに行動できるようなります。
3歳頃になると親から言われたことを理解して、超自我が働いて「お友達を叩いてはいけない」「お友達のものを勝手に盗ってはいけない」とコントロールできるようになります。
超自我は、「善悪」を判断する裁判官のような役割をしています。
まとめ
とても長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
私は、局所論と構造論がごっちゃになってしまったり、「エスとイド」は同じものですが、そこが腑に落ちないことがありました
ちなみに、エスはドイツ語、イドはラテン語だそうです…。なぜ2つ…。
フロイトが提唱した概念や理論は、たくさんあるため順番に紹介していきたいと思いますので、気長にお待ちください!
