イギリスの産業革命からしばらく経過した頃…。アメリカでは、仕事の作業を経験の差でばらつきが出ることがなく、誰でも簡単で速く、かつ疲れないようにする方法はないかと研究した人たちがいました。
今回は、テイラーとギルブレス夫妻が行った「作業研究」について一緒に学んでいきましょう!
産業・組織心理学の作業研究
作業研究とは?
作業研究
作業の「ムダ」や「ばらつき」を改善して、より効率的な作業方法を見つけるために、作業の現状を計測または観察して分析する手法を「作業研究」と言います。
作業研究は、テイラーの科学的管理法の「時間研究」と、ギルブレス夫妻の「動作研究」を統合した「動作・時間研究」が代表的です。
時代背景

20世紀初頭のアメリカでは大量生産が行われていましたが、労働者が集団で仕事をさぼる組織的怠業が問題になっていました。
楽をしたいからさぼることを自然的怠業と言います。組織的怠業は、頑張って働くとすぐに仕事が終わるので失業してしまうのではないか、また生産のスピードが上がると経営者が賃金を切り下げるのではないかという誤解や不信感が原因で起こりました。
組織的怠業をされると、企業としては生産性が下がると儲けが出ないため、結果として労働者に支払うことができる賃金は下がってしまうため、どちらにとってもよい状況ではありませんでした。
テイラーの時間研究
組織的怠業を改善して、労働者と企業がWin-Winな関係になれるようにするため、テイラーは作業の単純化と標準化を行いました。
時間研究は、作業動作を単純な要素(要素動作)に分解して、要素動作にかかる時間をストップウォッチで計測します。そして、無駄な動作を排除した標準的な作業方法と作業時間を決めます。
作業を単純化・標準化することで、経験が浅い人でも作業がしやすくなりました。
さらに、1日に必要な作業量を達成することができれば、高い報酬を得ることができるシステムにすることで、搾取されているという不信感を抱くことがなく、モチベーションの向上に繋がりました。企業としても、作業時間を把握できるため、生産の見通しを立てることができました。
問題点として、テイラーの組織的管理法は、仕事を機械的に捉えているという側面があるため、仕事の面白さや喜びなどの人間的な労働とは言えないのではないかという指摘もあります。
ギルブレス夫妻の動作研究

動作研究では、作業の様子を観察して作業動作の無駄な動きや手順などを見つけ出し、「動作経済の原則」に従った「唯一最善の方法」を見出すことを目指します。
ギルブレス夫妻は、建築現場の煉瓦積みの作業をしている職人を観察して、熟練の職人は動作に無駄がないことに気づきました。そして、「速くて簡単かつ疲れない、作業を最短で行う最適な方法」があると考え、「動作経済の原則」を提唱しました。
動作経済の原則とは、「動作の数を減らす」「動作の距離を短くする」「両手を同時に使う」「動作を楽にする」という4つの基本原則から成り立っています。
ギルブレス夫妻は、「サイクルグラフ法orクロノサイクルグラフ法」を用いて、動作研究を行いました。
これは、手や指に豆電球を取り付けて、作業者の動作の流れを写真に記録して分析をする方法です。その結果、熟練者の作業はとても少ない基本的な動作であることが分かりました。
それを、16種類(現在は18種類)の要素動作にまとめ、サーブリック記号で定義しました。
