前回は、「遺伝的要因」と「環境的要因」の両方が相互に影響を与えながら、人は発達していくと考える「相互作用説」を紹介しました。
学習や経験は子どもの発達に影響を与えていますが、それだけではなく「社会環境」からも子どもは多くの影響を受けていて、子ども自身も社会に影響を与えているのだと考えた心理学者がいました。
今回は、ブロンフェンブレンナーが提唱した「生態学的システム理論」を一緒に学んでいきましょう!
生態学的システム理論とは
アメリカの発達心理学者ユリー・ブロンフェンブレンナーは、子どもは社会環境から多くの影響を受けていて、さらに子ども自身も社会に影響を与える存在であるとしました。
個人と環境が相互に影響を与え合って発達するという考え方のもと、子どもを取り巻く環境を親などの身近な存在のみならず、社会や文化なども含めて階層的とらえる「生態学的システム理論」を提唱しました。
生態学的システム理論では、5つの環境システムがあり、子どもはこのシステムの中で直接的・間接的に影響を受けて発達していきます。
5つの環境システム

マクロシステムは、子どもが直接関わって、互いに影響を与え合う行動場面です。家庭、保育園や幼稚園、学校、友達、近所の人たちとの関係などが該当します。
マイクロシステム内の「関係性や連携」をメゾシステムと言います。「親と保育士との関係(連絡帳や送迎時の会話)」「家庭と学校の連携」などです。
エクソシステムは、子ども自身が直接関わることはありませんが、間接的には大きな影響を与える環境を指します。具体的には、親の職場や兄弟姉妹が通う学校、地域社会、マスメディアなどです。
例えば、親の職場は子どもには直接関係はありませんが、親の職場環境(労働時間や人間関係など)のストレスは、家庭での子どもへの接し方に影響を与えたり、子どもが親の仕事に関係する話を聞くことで、仕事や労働に関するイメージが作られることがあるかもしれません。
マクロシステムは、子どもを取り巻く「文化、思想、価値観」などです。個人の考え方や価値観は周囲の人々や物事に影響を受けていて、性格や好みなども形成されていきます。自分が経験したことだけではなく、地域や社会の雰囲気や慣習、国の分化や制度も大きな影響を与えています。
当初は、4つのシステムでしたが、のちに5つ目のクロノシステムが追加されました。クロノシステムとは、「時間の流れ」のことです。進学や就職、転居などのライフイベントだけではなく、社会全体の生活様式の変化や、戦争などの歴史的な出来事も含まれます。
