人の発達段階について学ぶときに、必ずと言ってもよいほど登場する理論が「心理性的発達理論」です。
フロイトが提唱したこの理論は、リビドー(性的欲動)に着目して、人の性的エネルギーがどのように発達するのかをまとめたものです。
今回は、フロイトが考えた発達段階と人格形成について一緒に学んでいきましょう!
心理性的発達理論とは?
フロイトの心理性的発達理論
精神科医のジークムント・フロイトは、性の発達に着目して発達段階の理論を提唱しました。
フロイトは、性的エネルギーである「リビドー(性的欲動)」が人の行動の原動力であると考えました。
0歳~思春期以降のそれぞれの発達段階において、エネルギー(性的欲求)がどのように発達するのかを示したものが「心理性的発達理論」です。
フロイトは、発達段階によって特定の部位(口・肛門・性器)が敏感になり、そこから快感を得てリビドーを満たしていると考えました。
心理性的発達理論は、「口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期」の5つの段階があります。
心理性的発達段階において、リビドーが適切に満たされて成長すると、健康的な人格が形成されます。しかし、特定の段階でリビドーが満たされないまたは過剰に満たされすぎると、「固着」が起こると考えました。
固着とは、リビドーが十分に満たされないまたは過剰に満たされることで、リビドーがその段階に留まってしまうことです。
固着が起こることによって、心理的な発達に影響が生じ、大人になってから対処が難しいストレスや葛藤を抱いたときに、固着した段階に退行してしまい不適応が起こるとしました。
口唇期(0~1歳)
口唇期(こうしんき)は、0~1歳の時期で、口唇から母乳を吸うという行動を通して、リビドーを満たそうとします。
母乳を吸うという行動を通して母親との交流を行うことで、基本的な信頼感と安心感を獲得します。
口唇期の固着は「依存」で、この時期に保護者などから愛情を向けられていないと、嫉妬しやすい、落ち込みやすい性格になると言われています。
この時期には、フロイトの構造論では「エス / イド」しか働いていない状態と言えます。
肛門期(1~3歳)
肛門期は1~3歳の時期で、この年齢になると排泄のコントロールを練習するようになるため、リビドーは肛門に集中していて欲求を満たしています。
肛門期には、親が行うトイレットトレーニングがとても重要で、排泄機能のコントロールを練習して成功する過程で、自律性や自己有能感を獲得します。
口唇期では自由に排泄ができていましたが、徐々に社会のルールを学んで、適切な場所とタイミングで排泄ができるように練習する重要な時期になります。
この段階に固着すると、しつけが厳しすぎた場合は真面目、几帳面、倹約家、強迫的になりやすく、放っておかれた場合には浪費家、攻撃的な性格になりやすいのではないかとフロイトは考えました。
この頃から、自我(エゴ)が発達してくるので、自分の欲望や攻撃的なエネルギーのコントロールが徐々にできるようになっていきます。
男根期(4~6歳)
男根期は4~6歳の時期で、リビドーは性器に集中していて、性や性役割を意識するようになります。
男の子は母親に性的な関心を向けて愛着を持ち、父親に対しては敵意や対抗心を抱くようになります。これを、エディプス・コンプレックスと言います。
また、男の子は父親に対する敵意によって、罰を受けて生殖器が取られてしまうのではないかという不安を抱える(去勢不安)ようになるとフロイトは考えました。
フロイトは男根期に固着すると、ヒステリックな性格になるのではないかと考えたようです。
この時期には、超自我(スーパーエゴ)が発達してくるので、良心が芽生え始めます。
エディプス・コンプレックス…フロイトが提唱。男の子が母親に抱く性愛と、父親に抱く敵対心。
ギリシャ神話に登場する父親を殺害して母親を娶ったエディプス王が由来。
エレクトラ・コンプレックス…カール・ユングが提唱。女の子が父親に抱く性愛と、母親に抱く敵対心。
ギリシャ神話に登場するエレクトラが由来。エレクトラの父アガメムノン王が母によって殺されたため、エレクトラは敵討ちを行った。
潜伏期(6~12歳)
潜伏期は6~12歳の時期で、エディプス・コンプレックスを克服したことにより、性的な関心が弱くなる時期で、思春期以降の性器期まではリビドーが潜伏しているとしました。
勉強やスポーツなどへの関心が高まり、対人関係などに時間を使って社会性を発達させていきます。
性器期(12歳~)
性器期は12歳以降(思春期以降)の時期で、身体的な成熟によって、異性との親密な関係を求めるようになっていきます。
口唇期、肛門期、男根期に会った部分的なリビドーが統合されて、性衝動が高まります。
この時期には、親から精神的に自立しようとする心理的離乳があります。
まとめ
今回は、フロイトの心理性的発達理論について学んできましたが、あなたはどのように感じられたでしょうか?
心理性的発達理論は、フロイトが生きていた頃のヨーロッパの歴史・文化的な価値観の影響が多いと言われていて、男性中心の理論で性的欲動を重視している点、さらに科学的根拠がないという指摘もあります。
フロイトは女性のヒステリーの研究を行ってため、性的な欲動に着目していました。
そのため、心理性的発達理論の中でも性的発達と人格形成について、関連性を探していたのかもしれませんね。
各発達段階での固着と性格形成については、フロイトが考えていたものになるので、科学的に実証されているものではありませんのでご注意ください。
