「ジェームズ=ランゲ説」と「キャノン=バード説」

ジェームズ=ランゲ説 キャノン=バード説 感情心理学

「悲しい」という感情はどのように生じているのでしょうか?

生理学者で心理学者でもあるウィリアム・ジェームズは、「泣くから悲しいのではないか」と考えました。

いやいや「悲しいから泣いているのでは?」と突っ込みたくなりますよね

今回は、古典的な感情理論である「ジェームズ=ランゲ説」と「キャノン=バード説」を一緒に学んでいきましょう!

情動はどのように起こる?

ジェームズ=ランゲ説

ジェームズ=ランゲ説 ウィリアム・ジェームズ 抹消起源説 感情心理学

ジェームズ=ランゲ説は、生理学者のウィリアム・ジェームズと医師のカール・ランゲによって提唱された、情動の生起に関する古典的な理論です。

おばけ(怖いもの)に遭遇してしまったときの様子を想像してみてください。

一般的には、おばけなどの怖いものと遭遇したときには、まず「怖い」と感じて、そのあと「震える」「身動きが取れなくなる」といった身体反応が生じると考えられています。

しかし、ジェームズは「おばけを見て、震えるという身体反応が起こり、そのあと怖いと感じる」と考えました。

ジェームズは、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ。」という有名な言葉を残しました。

この言葉にあるように、「情動身体反応」ではなく、「身体反応情動」とする説を、ジェームズ=ランゲ説と言います。

これは、世間一般の考え方とは逆の主張だったので、たくさんの批判が集まりました。

外部からの刺激を知覚すると、血管が拡張 / 収縮(身体の抹消の反応が起こる)します。それから、心拍数や呼吸数が変化(身体の変化が起こる)し、これを脳が知覚します。その結果、喜びや悲しみなどの情動が生じます。

このように、身体の抹消の反応が先に起こるため、ジェームズ=ランゲ説は「情動の抹消起源説」とも呼ばれています。

ジェームズ=ランゲ説は、ほぼ同時期に2人が同じような主張をしたため、2人の名前を組み合わせて命名されました。

キャノン=バード説

キャノン=バード説 中枢起源説 感情心理学

キャノン=バード説は、生理学者のウォルター・キャノンと弟子のフィリップ・バードによって提唱された、情動の生起に関する古典的な理論です。

この説では、外界からの刺激は感覚受容器(目)から視床を通過して、2つに分岐します。一方は、大脳皮質に到達して、怒りや悲しみなどの情動が作られます。もう一方は、視床下部に到達して身体反応の変化を起こす命令が出されます。

キャノン=バード説は、情動と身体反応は同時に起こると考える説です。

ジェームズ=ランゲ説の「先に身体の抹消の反応が起こるという」という考え方を否定して、身体反応と並行して感情は生じると主張しました。

キャノン=バード説は、視床下部の役割に焦点を当てているため、「情動の中枢起源説」とも呼ばれています。

まとめ

現在は、情動が起こるメカニズムについての研究が進み、視床下部以外にも大脳辺縁系なども関与していると考えられています。

ジェームズ=ランゲ説とキャノン=バード説は、どちらも問題点が挙げられていて、完全に正しいとはされていません。

しかし、この古典的な感情理論をもとに、感情に関する研究が行われていき、新たな感情理論が提唱されていきました。

 ウィリアム・ジェームズについてはこちらをご覧ください!

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