ワーキングメモリという言葉を聞いたことがありますか?
ワーキングメモリは、会話、読書、計算、運転などの知的作業をするときに作動する機能で、記憶の一時保持だけではなく、情報の処理や統合を行うことができる短期記憶のシステムです。
今回は、バデリーが提唱したワーキングメモリの理論を一緒に見ていきましょう!
ワーキングメモリとは?
短期記憶

次の3つのステップを行うことで、人は記憶をすることができます。
①記銘という「覚える」作業。②保持という覚えておくこと。③想起という覚えたことを思い出すことです。
短期記憶は、数秒から数十秒で覚えた内容のほとんどが消えてしまう短い記憶です。
短期記憶の中でも印象的だったこと、またはリハーサル(何度も繰り返すこと)を行ったことは、長期記憶となって半永久的に消えない記憶になります。
短期記憶には、会話、読書、計算、運転などの知的作業をするときに作動する「ワーキングメモリ」という機能があります。
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複数成分ワーキングメモリモデル

イギリスの心理学者アラン・バデリーらは、ワーキングメモリの仕組みについて、視覚的情報を一時保持・処理する視空間スケッチパッド、言語情報を処理する音韻ループ、情報を一時的に保持するエピソードバッファ、その全体を統括する中央実行系という「複数成分ワーキングメモリモデル」を提唱しました。
バデリーは、ケンブリッジ大学で博士号を取得したのち、応用心理学ユニットで「EC1Y 8SY」のように6桁の英数字で表記するイギリスの郵便番号のシステムを考案しました。
ワーキングメモリは、「作動記憶」や「作業記憶」と呼ばれることもあります。認知課題を行うときに、一時的に必要となる情報の「保持」や「情報処理」の機能を持つ短期記憶のシステムです。
計算や音読などの課題を行うとき、さらに車の運転や料理など、二重課題や多重課題をしなければならない状況で、ワーキングメモリは重要な役割を果たしています。
例えば、ドッグランで走っている犬の数を数えようとしている人がいるとします。複数成分ワーキングメモリモデルを当てはめてみましょう。
走っている犬を見て(視空間スケッチパッド)、「1匹、2匹、3匹…」と言葉で数えて(音韻ループ)、どこまで数えたかを保持して(エピソードバッファ)、最終的に犬の数を算出する(中央実行系)という流れになります。
短期記憶とワーキングメモリの違い
ワーキングメモリの理論には、注意制御モデル、時分割リソース共有モデルなど、多くの理論があります。
ワーキングメモリの機能は「記憶の一時保持」だけではなく、「実行機能」と「制御機能」を持っていることが特徴です。
短期記憶は、電話番号や郵便番号などを一時的に記憶することができますが、リハーサルを行わなければ、数秒から数十秒で消えてしまいます。
さらに、短期記憶は記憶できる容量には限界があります。記憶できる情報の単位は「チャンク」と呼ばれ、ジョージ・ミラーは「7±2」であると考えました。
短期記憶では、「情報の処理や統合」は行われないため、ワーキングメモリとは定義が異なります。
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