ゲシュタルト心理学者のケーラーは、チンパンジーがエサを獲得するまでの様子を見て、試行錯誤をしないで問題解決を行うことができることを発見しました。
今回は、ケーラーが行った洞察学習の実験と、ソーンダイクの試行錯誤学習との違いについて一緒に学んでいきましょう!
洞察学習とは?
チンパンジーの実験
ゲシュタルト心理学者のケーラーは、試行錯誤ではない問題解決の過程を提唱しました。
試行錯誤学習とは、直面した問題に対して、いろいろな方法を試して成功と失敗を繰り返しながら、適切な解決策を探していく学習のことです。
一方で、問題解決をするためにはどうすればよいのか深く思考して、本質を導き出そうとすることを「洞察」と言います。
ゲシュタルト心理学は、ヴントの構成主義のみならず、外部からの刺激に対する反応だけで人間を理解しようとする行動主義心理学にも疑問を投げかけました。
ケーラーはチンパンジーの実験で、試行錯誤をした結果ではなく、瞬間的なひらめき(アハ体験)によって、問題解決ができることを発見しました。

ケーラーは、チンパンジーを檻の中に入れて、手を伸ばしても届かない位置にバナナを置きました。
最初、チンパンジーは手を伸ばしてバナナを取ろうとしますが、近くに小さな棒があることを発見します。そして、少し遠くに置かれた長い棒を取るために、短い棒を使って長い棒を引き寄せました。
長い棒を取ったチンパンジーは、それを使ってバナナを引き寄せて、見事にバナナを獲得することができました。
チンパンジーは、「棒を使えばよいのだ」という解決策を突如ひらめいて、問題解決をすることができたようです!
このように、全体の状況を把握して、思考による認知(判断)を行うことで、瞬時に問題解決をすることができる点が「洞察」の特徴です。
洞察学習は、行動を繰り返すことで問題解決をするまでの時間が短くなっていく試行錯誤学習とは異なります。
さらに、行動主義心理学の理論では説明ができません。
S-R連合
S(刺激)「紐を引く」と、R(反応)「扉が開く」
外に出てエサを食べることができた(満足)
SとRの結びつきが強くなって、行動頻度が高まる。
箱を積み重ねるチンパンジーの洞察力

ケーラーは部屋の隅に箱を置いて、バナナを天井から吊り下げました。そして、その部屋にチンパンジーを入れて、どのような行動をするのか観察しました。
するとチンパンジーは、バナナの下に箱を積み重ねて、足場を作ってバナナを手に入れました。
この行動は試行錯誤によって起こったのではなく、主体的に思考・行動することで、問題状況の捉え方が再構造化(物事の捉え方や問題の枠組みを組み替えて、今までとは違った新しい解決策を見出すこと)した結果、突然生じたのものだと考えらています。
ウォーラスによる問題解決のプロセス
洞察に関する研究は、ゲシュタルト心理学者が行っていましたが、ウォーラスによって段階説が提唱されました。
この説では、「準備」、「あたため」、「ひらめき」、「検証」の4つの段階で洞察が起こると言われています。
これまでの研究では、洞察による問題解決を行う場合には、初期に行き詰まりがみられて、そのあと解決策が突然ひらめくという特徴があるとされています。
そして、解決策が見つかった瞬間に「わかったー!!」という強い感情(アハ体験)を経験する場合が多いと言われています。
また問題を解決をした本人が、問題解決の過程を意識的に捉えることが困難であるという特徴もあるとされています。
まとめ
ケーラーによる洞察学習の発見は、認知心理学に大きな影響を与えました。
ソーンダイクの試行錯誤学習と、ケーラーの洞察学習はどちらも問題解決に関する学習の方法ですが、全く違う学習方法になります。
ソーンダイクの試行錯誤学習についてはこちらをご覧ください!
